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面談で「現場を離れて設計か発注者側も見たい」と伝えたのに、後日メールで届いたのは同じ施工管理の求人ばかりだった。こういう話を、面談を受け持っていた頃から担当を離れた今まで、何度も聞いています。この記事は、あなたがその一言を口にした直後に担当者の頭の中で何が計算されているか、そこだけに絞って書きます。求人の探し方全般の話はしません。
面談で出てくる求人は、あなたが話す前に選ばれていることがある
内側の話をします。面談の前に、担当者はあなたの職務経歴書を読んで、自分の持ち駒から三件から五件を用意します。面談は希望を聞く場であると同時に、用意したその求人を納得してもらう場として組み立てられていることがあります。
ここで「他の職種も見たい」と言われると、用意した三件が全部使えなくなります。その場で別の職種の求人を出せる担当は多くありません。だから「まずは経験が活きるところから見ていきましょう」と話が戻る。これは信念ではなく、その日の面談を空振りにしたくないという事情です。
特化型と総合型で持ち駒がどう違うかは、建設特化か総合か。初回面談の最初の15分で、担当者の中身を確かめるに書いています。
見分け方は簡単で、面談の冒頭十分以内に具体的な求人票が出てきたら、それは面談前に選ばれたものです。悪いことではありませんが、確かめる価値はあります。
「今日いただいた三件は、私の経歴を見て面談前に選ばれたものですか。それとも今の話を聞いて選び直したものですか」
こう聞いて、前者だと答えたうえで「では希望を踏まえて選び直した分を改めて送ります」となる担当は信用していい。ここで曖昧に流されたら、次に届くメールも同じ顔ぶれになります。
「未経験扱い」が効くのは面接ではなく、等級表です
他職種に移ると年収が下がる、という話は聞いたことがあると思います。ただ、下がる場所がどこかまで説明されることは少ない。下がるのは交渉の場ではなく、企業の社内等級表に当てはめる段階です。
たとえば都心部の建築施工管理の求人で、年収の幅が四百万円台から八百万円台まで開いているものがあります。あの幅は、募集ポジションが社内の何等級から何等級までを想定しているかがそのまま出ているだけです。施工管理として八年の経験があれば、主任相当の等級に置いて幅の真ん中から上で提示できる。ところが同じ会社の設備設計に未経験で入るなら、設計実務の年数がゼロなので、入社二、三年目相当の等級に置くしかない。幅の下限付近になります。人事が意地悪をしているのではなく、既にいる社員に説明がつかないからです。
面接で「前職の年収は考慮します」と言われても、多くの会社は等級表の外には出せません。出す場合は調整給という名前の一時的な上乗せになり、次の昇給で吸収されます。入社三年目に「同じ等級の若手と手取りがほとんど変わらなくなった」という後日談は、ここから来ています。求人票の年収例に三十五歳で八百万円台と載っていても、それは同職種で入って等級が積み上がった人の例です。
三十代の「未経験」は、二十代の「未経験」と別物です
同じ未経験でも、二十代は育成枠で、三十代以降は即戦力枠で見られます。入口が違うので、面接で聞かれることも変わります。二十代なら「なぜ職種を変えたいのか」が中心になりますが、三十五歳で未経験の職種を受けると「入社して半年で何を任せられそうですか」が早い段階で来ます。
これは、教育にかけられる月数と提示できる額の釣り合いの問題です。企業から見ると、未経験を一人採るのにかかるのは給与だけではありません。エージェント経由なら紹介手数料が先に出ます。そのうえで独り立ちするまでの数年は、給与を払いながら利益を生まない期間になります。教える側の時間も現場から引くことになります。そして力がついた頃に辞められる可能性も、確率として計算に入っています。
この四つを足したものが、未経験一人あたりの実質的な投資額です。だから提示額は「その人が今できること」ではなく「何年で回収できる見込みか」から逆算されます。人手が足りないという話と、未経験に高い額を出せないという話は、企業の中では矛盾していません。そして三十代で未経験の職種に入ると、定年までの年数が短くなる分だけ回収の見込みが立てにくくなります。同じ計算式でも、年齢が変わると答えが変わります。
隣接職種でも、経験の全部ではなく一部しか値段がつかない
「近い職種なら評価されるはず」という感覚は、半分当たっていて半分外れます。
たとえば管工事の施工管理から、ビル設備の保全に移る場合。評価されるのは設備の知識と図面が読めることで、原価管理、協力会社の手配、工程の組み直しはその仕事ではほとんど使いません。つまり十年の経験が十年分としてではなく、必要な部分だけ何年分か、として値付けされます。
一方で、施主側の技術者や発注者支援に移る場合は、原価と工程と業者との折衝がそのまま効きます。同じ「未経験」でも中身がまるで違う。ここを自分で言葉にできるかどうかで、担当者が企業に出す推薦文が変わります。書類選考で人事が最初に見るのは職種名と年数の欄ですが、その上に担当が書く二、三行に「募集要件のこの行は、この方のこの経験が直接当たります」と具体的に書かれていれば、年数が足りなくても面接に呼ばれることはあります。逆に推薦文が「人柄がよく熱意があります」で終わっていると、年数の欄だけで判断されます。
あなたの希望は、担当者にとって割に合わない
ここが一番不都合な部分なので、仕組みとして書きます。
エージェントの報酬は成功報酬で、決まったときの理論年収に対する割合です。つまり、あなたが年収の下がる転職をすると、担当者が受け取る額も下がります。加えて、未経験職種は書類の通過率が低いので、同じ手間をかけて決まる確率も落ちる。単価が下がって確率も下がる選択肢を、月ごとの数字を背負っている担当者が積極的に押すことはまずありません。月末が近いほど、確度の高い案件から順に時間が使われます。
もう一つ、社内の案件配分があります。設計職や発注者側の求人は、別の担当や別の部門が企業を持っていることがあります。そちらに回すと売上が分かれるか、相手側につく。制度上はできても、実際には動きにくい。あなたの希望職種の求人が「うちには今ありません」と言われたとき、本当に無い場合と、担当の手元に無いだけの場合があります。
そして後回しになる応募者にも型があります。希望が絞れていない人、返信が遅い人、面接日程が出せない人。現場を持っている技術者は三番目で確実に不利になります。担当者は嘘をつくのではなく、優先度を下げるだけなので、それは連絡が減るという形でしか表に出ません。
対策としては、面談の時点で「平日は十九時以降、土曜は午前なら確実に出せます。オンラインなら昼休みも可能です」と自分から先に言ってしまうことです。日程が読める応募者は、それだけで手前に置かれます。
それでも職種が変わる人には、共通点があります
ここまで難しい理由を書いてきましたが、通る例はあります。共通しているのは、足りない実務年数を別のもので埋めていることです。
二十代で施工管理から設計に移る場合。建築学科など専門学科の出身で、在学中に設計の基礎を通っていることが効きます。そこに一級建築士や二級建築士があれば、実務年数がなくても「学んだうえで資格まで取った」という筋が通ります。企業から見れば独り立ちまでの月数を短く見積もれるので、回収の計算が変わり、挑戦権が出てきます。逆に、専門学科でもなく資格もない状態で二十代の後半に設計を志望すると、育成枠としても見込みが立ちません。
五十代の例も挙げます。大手ゼネコンで所長や現場代理人を務めてきた人が、デベロッパーの品質管理に移るケースです。年齢だけ見れば不利ですが、この動きは成立します。デベロッパーは建物を発注して監理する側なので、現場の技術面のイロハが身についた人材を欲しがるからです。施工を分かっている人が検査に入れば、施工者の説明が妥当かどうかをその場で判断できる。ここでは所長経験そのものが値段のつく経験になります。職種名だけ見れば未経験ですが、実際には経験がそのまま効く側へ回っている。
この二つに共通するのは、年数の不足を「独り立ちまでの短さ」か「その仕事で直接効く経験」のどちらかで埋めていることです。自分の希望職種でどちらが言えるかを整理してから面談に行くと、担当者の反応が変わります。
そもそもエージェントを通さず直接受けたほうがよい場面もあります。その線引きは転職エージェントは使わないほうがいいのか。施工管理で直接応募と使い分ける線引きに書いています。
今日できる一歩
希望している職種の求人を一件選んで、応募要件の行ごとに、自分の経歴の中で文字通り当てはまる事実を書き出してください。「設備図面の読解」に対して「機械設備の施工図チェックを何年、何件」といった具合です。三行埋まれば、未経験扱いを外して推薦してもらえる余地があります。ゼロ行なら、下の等級から入る前提で条件を考えることになります。
その紙を担当者に渡して、「この行について企業に確認してほしい」と頼む。そこから返ってくる反応で、その担当が動く人かどうかも同時に分かります。


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