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ハウスメーカーで施工管理をしている人が次を考えるとき、最初に選択肢を決めるのは希望年収ではありません。自分が回してきた建物の構造です。軽量鉄骨をやってきた人と木造をやってきた人では、書類が通る会社の集合がほとんど重なりません。この記事は、その分岐と、業態は合っているのに二次面接で止まる理由に絞って書きます。
棚卸しは「構造・階数・請負金額・同時担当棟数」の四列で
職務経歴書に「戸建住宅の施工管理」とだけ書かれていると、採用側は判断する材料を持てません。見ているのは四つです。構造(木造か軽鉄かRCか)、階数、一棟あたりの請負金額、そして同時に何棟持っていたか。
四つ目を書いている人は少ないのですが、ハウスメーカー出身者がいちばん評価されるのはここです。並行して複数の現場を動かし、引き渡しの時期をずらしながら協力会社と近隣と施主の間に立ってきた、という経験は、住宅以外の会社でも読み替えが効きます。逆に「木造二階建て・年間○棟」だけだと、棟数が多いことしか伝わりません。
今日できる作業として、これだけ書き出してください。
- 直近三年で担当した物件を一行ずつ並べる
- 各行に構造・階数・請負金額(概算でよい)を足す
- その時期に同時に何棟抱えていたかを月単位で足す
- 施主との打ち合わせに自分が出ていたか、出ていた場合の曜日を足す
四つ目まで書けている職務経歴書は、面談でこちらから質問することがほとんどなくなります。逆にこれが書けていないと、担当者は会社に推す一言を作れません。「棟数を多く回せます」だけでは、どの規模の会社に出しても弱い推薦文になります。
軽鉄の人には特建の扉がある。求人票には「店舗」と書かれない
大手のハウスメーカーは軽量鉄骨造を主力にしていることが多く、一方で中小規模の会社が軽鉄を手掛けている例は少ない。つまり軽鉄経験者が同じものを扱う会社に移ろうとすると、事実上は大手同士の移動になります。枠が狭く、選考も厳しい。
ただし軽鉄を扱う会社は、住宅だけでなく特建事業を併せて持っていることが多いはずです。店舗、クリニック、物流、福祉施設といった非住宅を軽鉄や鉄骨で建てる部門です。ここを経験している人、あるいは社内で近くにいた人には、店舗建築を手掛ける会社への道があります。
注意したいのは、その求人票に「店舗」という語がほとんど出てこないことです。募集職種は「建築施工管理」で、事業内容の欄に「事業用建物」「非住宅」「商業施設」と書かれている程度。検索窓に「店舗」と入れても出てきません。確かめ方は会社サイトの施工実績で、用途を数えることです。ロードサイドの物販と飲食が並んでいれば商業系、クリニックと福祉施設が多ければ用途変更や検査のやり方がまた別になります。求人票の文字より、実績の用途の偏りのほうが正確です。
木造の人の移り先は、土地活用か投資用不動産になりやすい
木造のハウスメーカーにいた人が、同じ木造の注文住宅の会社に移っても、業界最大手クラスを除くと転職としての妙味が出にくい。仕事の中身も待遇の考え方も大きくは変わらないからです。面談でも、ここは率直に伝えていました。
実際に移り先になりやすいのは、土地活用の事業者と投資用不動産の事業者です。理由は仕事の形が同じだからです。土地活用は地主が施主にあたるので、注文住宅に近い。施主がいて、要望が入り、折衝がある。投資用不動産は企画から施工まで自社で回すので、分譲に近い。施主がいないぶん、途中の変更の性質が変わります。
ここで一つだけ混同しないでほしいのは、似ているのは「施主がいるかいないか」という仕事の形までだということです。収益の作り方は別です。分譲はローコストで薄利多売の設計ですが、投資用不動産はそうではありません。分譲の感覚で「一棟あたりのかけ方が薄いだろう」と構えて入ると、求められる仕上がりの水準とずれます。
もう一つ、どちらの業態も賃貸管理を二次ビジネスに持つ会社が多い。建てて終わりではなく、その後の管理で収益が立ち続ける構造です。工事の利益だけで回している会社と比べると、社内での施工部の位置づけも、着工が一時的に減ったときの受け止め方も変わります。会社サイトで管理戸数の記載を探してください。数字が前面に出ている会社は、管理が事業の柱になっています。
業態が合っていても、規模が合っていないと二次面接で止まります
ここが、いちばん多い噛み合わないパターンです。土地活用も投資用不動産も、手掛ける建物の規模に大きな幅があります。三階建てのアパートを建てている会社もあれば、十階、十五階の建物を手掛ける会社もある。業態のラベルは同じでも、現場は別物です。
ゼネコン出身なら規模の大きい物件を手掛ける会社が噛み合い、ハウスメーカー出身なら小型の物件が多い会社が噛み合います。前歴で扱ってきた規模が、そのまま評価される規模になる。木造二階の戸建てを年に何棟も回してきた人が、十階のRCを主力にする会社を受けると、書類は通ることがあります。人手が足りないので会うところまでは進む。そして二次面接で山留めや躯体の段取りの話になった瞬間に止まります。落ちた理由は経歴の優劣ではなく、同じ席にゼネコン出身の応募者が並んでいるからです。
これは担当者の側でも起きます。「ハウスメーカーの施工管理には土地活用と投資用不動産」という業態の対応は知っていても、階数の幅までは押さえていない人がいる。だから自分で会社サイトの施工実績を開いて、階数の分布を数えてください。三階建てが並んでいるか、七階、十階が混じっているか。それだけで、その求人を受ける意味があるかが判断できます。
なお木造から軽鉄への転職は、実質的に大手への転職になります。実績と資格の両方でハードルが高い。ただし大型の木造を手掛ける工事業者への道はあります。非住宅の木造をやっている会社は職種名では引っかかりにくいので、自分から名指しで探す必要があります。
二次面接で工事部長に聞く三つ
人事の一次ではなく、工事部長が出てくる面では、次の三つを聞いてください。どれも制度の有無ではなく、直近の実例を尋ねる形にしてあります。
- 「地主さまとの折衝や、途中の変更の窓口はどの部署が持っていますか。施工部が直接入る形でしょうか」
- 「直近一年の着工のうち、三階建てと五階以上の割合はどのくらいですか」
- 「産休・育休から復帰された方は、戻られたときにどの規模の物件に付かれましたか。着工からですか、途中からですか」
一つ目は休みの読みやすさに直結します。土地活用は施主がいるので折衝が発生しますが、その窓口を専門部署や営業が持つ会社と、施工部が持つ会社があります。後者だと打ち合わせが土日に寄りやすい。注文住宅で土日が埋まる経験をしてきた人なら、この差の重さは分かるはずです。
二つ目は、自分の経験と噛み合うかの確認です。求人票の「賃貸マンション」という一語からは階数が読めません。
三つ目の返答は、内容より形を見てください。「ケースバイケースです」「ご本人の希望次第ですね」で終わるときは、実例が手元にないということです。実例がある会社の部長は、具体的に答えます。ある応募者からの後日談では、「三階建ての現場に着工から一人、五階以上は複数体制なので途中合流もあります」と工程の組み方で説明され、それで判断がついたと聞きました。配属の話を工程の話として答えられるかどうかが、機能しているかの目安になります。
担当者が最初に出す求人と、言わないと出てこない求人
木造ハウスメーカー出身の人の面談で、土地活用と投資用不動産の求人が先に並ぶのには理由があります。仕事の形が近いので推薦文が書けること、そしてこれらの事業者は採用枠を継続的に持っていて、紹介手数料を織り込んだ採用計画を立てていることです。エージェントは成功報酬なので、決まる確度の高いところから出ます。方針というより計算です。
その土地活用・投資用不動産がどういう業態かは土地活用・投資用不動産の施工部。年収は出ますが、着工の量は上流で決まりますに、木造から移るときに規模で噛み合わなくなる話は木造ハウスメーカーの次。業態より先に「階数」を合わせないと評価が噛み合わないに書いています。
逆に、軽鉄の大手や、非住宅の大型木造を手掛ける工事業者は、枠が狭いか、そもそも職種名で検索に引っかかりにくい。初回の面談で自然に出てくることは少ないと思ってください。出てこないのは隠されているからではなく、担当者の手元のリストの並び順と、業界知識の範囲によるものです。
だから自分から名指しで言う必要があります。「非住宅の木造をやっている工事業者があれば見たい」「軽鉄の特建部門を持つ会社を知りたい」。この言い方だと、担当者が社内の別の担当に聞きに行けます。
もう一つ、不都合な事実も書いておきます。希望が自分の経験から離れすぎていると、紹介できる求人は実際に少なくなります。企業に推す一言が作れないからです。だから「どこでもいい」ではなく、構造と規模で範囲を指定したほうが、出てくる求人の質が上がります。
まず、今日やること
直近三年の担当物件を、構造・階数・請負金額・同時担当棟数の四列で書き出してください。それだけで、自分が噛み合う会社の規模が決まります。会社選びも面接での聞き方も、その四列の上に乗ります。


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