エージェントは何社使うのが正解か。「何社使っているか」を言うと何が起きるか

エージェントは何社使うのが正解か。「何社使っているか」を言うと何が起きるか エージェントの内側

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複数のエージェントに登録したあと、「他社も使っています」と担当者に言うべきかどうかで迷っている方向けの話です。結論から言うと、応募先の会社単位で「ここに出していいですか」と確認は取る。でも何社使っているかは言わない。これが実務上いちばん損の少ない線引きです。なぜそうなるのか、仕組みから説明します。

何社が現実的か。二社から三社で止まる理由

登録数は多いほど選択肢が増えるように見えますが、実際に動かせるのは二社から三社です。内訳は建設特化を二社、総合を一社。この形が噛み合いやすい。

特化を二社にする理由は二つあります。

一つは、エージェントごとに取引のある企業の層が違うからです。同じ「建設特化」でも、ある会社は準大手ゼネコンと設備サブコンに強く、別の会社は地場ゼネコンや専門工事会社の口座を多く持っている、ということが普通に起きます。一社だけだと、その会社が付き合っている層の求人しか目に入りません。自分がどの層に噛み合うかは受けてみないと分からない部分があるので(同じ職務経歴書が、ゼネコンの層を変えるだけで評価が反転する話 で書いた通り、同じ経歴でも層を変えると評価が反転します)、入口を一つに絞るのはもったいない。

もう一つは、担当者と噛み合うかどうかが、こちらでは決められないからです。希望を真面目に汲んでくれる人に当たるかは、会社の看板ではなく個人で決まります。運だけでもありません。エージェントの社内には誰をどの担当者に付けるかの決め方があり、そこに乗ってしまうと個人の努力では動かせない部分が出てきます。この話は長くなるので別の機会にしますが、いずれにせよ一社に賭けて外したとき、立て直すのに数週間かかります。

逆に四社、五社と増やすとどうなるか。破綻するのは求人の量ではなく、応募先の管理です。A社経由で三社、B社経由で四社、C社経由で二社に出している状態で、どこが書類選考中でどこが一次待ちか、面接の日程調整がどこと進んでいるかを、夜の一時間で把握し続けるのは現実的ではありません。

実際にあったのは、同じゼネコンの別支店に二つのエージェントから書類が出ていて、応募者本人が気づいていなかったケースです。日程の連絡が二系統から来て、本人が混乱した。管理が追いつかなくなると、こういう形で表に出ます。

二重で出したことは、企業側には見えている

ここは知らずに動いている方が多いところです。

企業とエージェントは、採用管理のシステムを通して書類のやりとりをしています。製品はいろいろありますが、共通しているのは「誰がいつ誰を推薦したか」が企業の採用担当の画面に履歴として残ることです。つまり、A社経由で出した一週間後にB社経由で同じ会社に出ると、企業側では同じ名前が二つ並んで見えます。応募者が黙っていても分かります。

同じ人が二つのルートから届いた場合、先に届いたほうを有効とするのが通例です。ただし、常にそう処理されるわけではありません。あとから届いたほうで選考が進んでしまうことがある。そうなると、手数料がどちらのエージェントに帰属するかという話が企業とエージェントの間で始まります。

このとき何が起きるか。両方まとめて見送りになる、という話ではありません。起きるのは選考の途中での停滞です。面接の日程調整が止まる、企業側が確認を取るまで返事が来ない、その間に他の候補者の選考が先に進む。結果として話が流れることもあります。応募者からすれば、自分の経歴とは何の関係もないところで止められる。

だから、会社単位の確認だけは必ず取ってください。「御社経由で○○建設に出していただくことは可能ですか」と、社名を出して聞く。これは応募者にとっての防御であって、遠慮することではありません。

では「他社も使っています」と言えばいいのか

重複を防ぐだけなら、「他にも使っているので、応募前に必ず社名を確認させてください」と伝えるのが一番早い。実際、そう伝えれば担当者はその会社への推薦を止めます。

ただ、ここから先が、現役の担当者が自社の記事には書きにくい部分です。

人材紹介は成功報酬です。内定が出て入社して、初めて企業から手数料が入る。途中の面談も推薦文も日程調整も、決まらなければ一円にもなりません。そして担当者は月ごとの数字を持っています。月末が近づけば、確度の高い案件から手を付けます。

その前提で、担当者の頭の中で何が起きるか。「この人は他社も使っている」という情報が入った瞬間、自社経由で決まる確率がその分だけ下がったと計算されます。三社併用なら単純に三分の一ではないにせよ、一社だけの人より低く見積もられる。

これは、担当者が不誠実だから起きることではありません。誤解のないように書いておくと、決まる見込みのある応募者に対しては、推薦文もきちんと書きますし、企業への口添えも手を抜きません。そこで手を抜く人は、そもそも続きません。

変わるのは、手を抜くかどうかではなく、時間の配り方です。たとえば夜の二時間で、三人の応募者に電話をかけるか、二人に絞って一人あたりの企業への押し込みを厚くするか。求人が公開される前の段階で「この人、どうですか」と企業に当てにいくかどうか。そういう、目に見えないところの順番が変わります。

会社単位では確認を取り、社数は言わない

この二つを両立させる言い方があります。実際に面談でこう言っている応募者は多いです。

  • 「他にも見ている求人があるので、応募前に社名を教えてください。重複していたら伝えます」
  • 「そこは自分で調べていた会社なので、少し確認させてください」
  • 「もう出していただいている会社と重なっていないか、一度整理させてください」

いずれも、重複を潰すという目的は達成しています。一方で、何社と付き合っているかは言っていません。担当者の側も、その言い方を聞けば「一社だけではないな」とは察します。察したうえで、具体的な数字が出ていないから、確率の計算が厳しいほうに振り切れない。この曖昧さが効きます。

逆に避けたほうがいいのは、初回面談で聞かれてもいないのに「三社使っています」と正直に申告することです。誠実さの表明のつもりでも、受け取る側では単なる確度の情報として処理されます。

聞かれた場合はどうするか。「何社か見ています」で止めて構いません。嘘をつく必要はありませんし、つかないほうがいい。経歴や在籍期間に関することは隠すと入社手続きで必ず出ますが(休職していた数か月を、エージェントに言うか。隠しても入社手続きで出ます)、併用の社数は選考にも入社後にも一切影響しない情報です。性質が違います。

一社を「主」にして、残りは供給源として使う

三社を均等に動かそうとすると、管理も消耗します。実務的には、面談してみて一番噛み合った一社を主に据えるのが回しやすい。

主の一社には、希望の条件も、迷っている点も、他社の選考が進んでいることも(社名は伏せて「他で一次が進んでいます」程度で)共有します。企業への推薦のとき、担当者が書ける一言が変わります。残りの二社は、その会社の口座にしかない求人を拾うための供給源として、社名の確認を取りながら使う。

主をどこにするかは、面談の最初の十五分で見当がつきます(建設特化か総合か。初回面談の最初の15分で、担当者の中身を確かめる)。経験年数ではなく、こちらの希望を汲んで動いているかどうかで見てください。

今日やること

登録しているエージェントを紙に書き出して、それぞれの担当者から「これまでに推薦された会社名」を全部並べてください。記憶ではなくメールの履歴から拾う。並べると、重複している会社が一つか二つ出てくることがあります。

出てきたら、その日のうちに片方の担当者に連絡を入れて、どちらを生かすかを決める。書類が二重で届いてから直すより、出す前に潰すほうが圧倒的に楽です。

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