土地活用・投資用不動産の施工部。年収は出ますが、着工の量は上流で決まります

土地活用・投資用不動産の施工部。年収は出ますが、着工の量は上流で決まります 建設業界の地図

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土地活用や投資用不動産の会社の施工部は、住宅の施工管理より提示年収が出ます。ハウスメーカーや工務店で現場を回してきた人が面談で見せられて、いちばん目の色が変わる求人のひとつです。ただ、この求人票からは読み取れないことが二つあります。ひとつは、自分の仕事の量を自分で決められないこと。もうひとつは、その年収がどこの利益から出ているかです。今回はこの二つに絞って、面接で何をどう聞くかまで書きます。

なぜ、この求人があなたに回ってきたのか

先に、勧める側の事情を書いておきます。

住宅の施工管理をしている人にこの業態が勧められるのは、担当者の好みや方針ではなく計算です。理由は単純で、経験が「そのまま」評価されやすいからです。施主がいて、設計があって、職人を動かして、引き渡しまで持っていく。仕事の形が近いので、企業側も「未経験」とは扱いません。そのうえ提示年収が上がりやすい。決まりやすくて、金額も上がる。応募者にとっても悪い話ではないのですが、紹介会社の報酬は決まった人の理論年収に料率を掛けた成功報酬です。年収が上がる転職は、担当者の数字としても大きくなります。利害が一致しているうちは問題ありません。ずれるのはこの先です。

もうひとつ、知っておいていい事実があります。土地活用の会社と投資用不動産の会社の違い、自社施工か外注かといった話は、求人票の職種欄には書かれていないので、担当者本人が把握していないことがあります。

なので、応募を決める前に担当者へこう聞いてください。

「この会社の施工部は、自社で施工を回す会社ですか。それとも協力会社に発注して管理する側ですか」

即答できれば、その担当者は企業の中身を見ています。「確認します」でも構いません。問題は、確認した答えが一日二日で返ってくるかどうかです。求人企業との窓口を持っているなら、この程度は電話一本で返ってきます。返ってこない、あるいは求人票の文言をなぞった答えしか来ない場合、その担当者は企業の採用担当と中身の話をする関係になっていない可能性があります。それは応募先の情報を面接まで誰も持っていないということなので、こちらの準備の量を増やす必要が出てきます。

施工部は下流にある。現場が空く時期がある

この業態の仕事の順番は決まっています。用地の取得があって、企画があって、設計が進んで、そのあとに施工部が動きます。施工部は最下流です。

これは組織図の話ではなく、あなたの一年の忙しさの話です。用地の仕入れが止まれば、半年後に着工が減ります。仕入れが好調だと、着工が重なって一気に来ます。住宅の施工管理でも受注の波はありますが、自社で用地を仕込んで自社で建てる業態は、波の幅が大きく出ます。そして施工部にはその波をならす手段がありません。

面談で聞いた後日談で多いのが、入社半年で担当現場が一棟だけになった、という話です。本人の評価が下がったわけではなく、上流が詰まっていただけでした。ではその期間に何をしていたかというと、引き渡し済み物件のアフター対応、他エリアの現場の応援、協力会社の新規開拓、稟議書類の整理。腐る人もいれば、その期間に建築士の勉強を進めた人もいます。

面接では、こう聞いてください。

  1. 「直近三年の着工棟数は、年ごとにどう動いていますか」
  2. 「いま、用地の仕入れは何件先まで見えていますか」
  3. 「着工が薄い時期、施工部の方は何をされていますか」

読むポイントは答えの中身より、誰が答えるかです。二次面接に出てくる施工部長が、上流の仕入れ状況を自分の言葉で答えられる会社は、施工部が企画会議に入っています。逆に「そこは開発部の管轄なので」と止まる会社は、施工部が完全に受け身の部署になっています。受け身が悪いという話ではありません。受け身なら、着工が薄い時期の過ごし方まで聞いておかないと、入社後に自分で仕事を作る羽目になります。三つ目の質問に具体的な答えが返ってこない会社は、その時期の過ごし方を誰も設計していないということです。

「施工管理」の一行が、自社施工か発注管理かを隠している

この業態は、自社施工が百パーセントの会社から、施工は全部外注で自社は発注と管理だけという会社まで幅があります。その間もあります。基礎と躯体は外注で、内装だけ自社の職長が入る、といった形です。

どちらも求人票の職種欄には「施工管理」としか書かれません。ですが仕事は別物です。自社施工の会社なら、自社の職長と工程を組んで、人の手配まで頭に入れて回します。発注管理中心の会社なら、協力会社の選定と発注、検査と是正指示、書類が仕事の中心になります。どちらが上という話ではなく、五年後の職務経歴書に書ける中身が変わります。

面接で確かめるなら、抽象的に「自社施工ですか」と聞いても「一部は自社でやっています」で終わります。こう聞いてください。

  • 「施工体制台帳で、御社の名前が入るのはどの立場ですか。元請として入る物件と、そうでない物件の割合はどのくらいですか」
  • 「自社の社員で、直接手を動かす職種を持っていますか」
  • 「施工図は社内で描いていますか、外注ですか」

三つ目が効きます。施工図を社内で描いている会社は、設計との距離が近く、施工部の意見が図面に入ります。全部外注の会社だと、施工部は出来上がった図面で工事を回す立場になります。どちらでも仕事は成立しますが、「自分が納まりを考えて建てている感覚」を求めて転職した人が、発注と検査の会社に入ると、一年で物足りなさが来ます。これは実際に後日談として届く食い違いです。

年収の原資は、工事の利益だけではない

ここが、この業態のいちばん見落とされる部分です。

土地活用も投資用不動産も、建てて終わりではありません。多くの会社が賃貸管理を二次ビジネスとして持っています。管理戸数が積み上がれば、毎月の管理料が継続的に入ります。つまり、工事の利益だけで会社が回っているわけではない。

これは給与の安定という意味では有利に働きます。工事の受注量が振れても、管理の収益が土台にあるので、賞与が工事の完成高に直結しにくい。住宅の施工管理から移った人が「年収が読めるようになった」と言うのは、この構造によるところがあります。

一方で、施工部の社内での立ち位置も変わります。管理で収益が立つ会社にとって、工事は物件を増やすための工程です。原価を抑える部門として見られやすくなります。品質を落とすという意味ではなく、工期とコストの圧のかかり方が、工事の利益で食べている会社とは違う形で来るということです。

確かめ方はあります。上場していればセグメント別の売上が公開されているので、工事と管理の比率が分かります。非上場なら、面接で「工事の売上と管理の売上は、いまどのくらいの比率ですか」と聞いて構いません。答えにくい質問ではありません。むしろ、この質問をする施工管理の応募者はほとんどいないので、会社の見方を持っている人だと受け取られます。

建物は偏る。その偏りが次の評価を決める

年収と引き換えに手放すものを、片方だけ書かないでおきます。扱う建物が偏ります。多くの場合、賃貸マンションかアパートです。三階建ての木造・軽量鉄骨のアパートを量産する会社もあれば、十階、十五階の RC を手掛ける会社もあります。

この規模の幅が、応募の噛み合いを決めます。ゼネコンを層で見るのと同じ見方が要ります。ゼネコン出身の人が三階建てアパート中心の会社を受けると「うちには大きすぎる」と見られ、ハウスメーカー出身の人が十階の RC を建てる会社を受けると「規模が違う」で止まります。前歴で扱ってきた規模が、そのまま評価される規模です。

この規模の合わせ方は木造ハウスメーカーの次。業態より先に「階数」を合わせないと評価が噛み合わないに、ゼネコンを層で見る同じ見方は同じ職務経歴書が、ゼネコンの層を変えるだけで評価が反転する話に書いています。

そして五年後。職務経歴書に、同じ用途・似た構造の物件が並びます。同業態の中では強い経歴になりますが、用途の幅を見たいゼネコンに出したときに、推す一言が作りにくくなります。これは紹介会社の側の都合ではなく、単純に出せる求人が少なくなるという話です。

偏りが悪いわけではありません。この業態で上のポジションまで行けば、年収は住宅の施工管理を超え、地場ゼネコンを超えることもあります。ただ、五年後に何が手元に残るかを見たうえで選んだのか、年収の数字だけで選んだのかで、その後の動きやすさが変わります。

まず、今日やること

受けようとしている会社の施工実績のページを開いて、直近三年ぶんの物件を五件、紙に書き出してください。用途、階数、構造、この三つだけで構いません。

五件並べると、その会社が本当に建てている規模帯が出ます。求人票の「マンション・アパートの施工管理」という一行より、よほど正確です。そのうえで、自分がこれまで担当してきた物件を同じ三項目で並べて、横に置いてみてください。階数と構造が噛み合っていなければ、面接で評価が伸びない可能性が高い。その時点で受けないという判断も含めて、材料はそこに出ます。

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