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注文住宅の現場に出ていて、土日の打ち合わせが積み上がって休みが読めない。そこで分譲の求人を見て「同じ住宅なら移れそうだ」と思っている20代の方に向けて書きます。結論から言うと移れます。ただし注文と分譲は、同じ「住宅の施工管理」という職種欄で別の業態を指していて、移ったあとに何が消えて何が増えるかを知らずに動くと、二年後にもう一度同じ悩み方をします。
「施工管理」という同じ職種欄が、注文と分譲では別の仕事を指している
注文住宅を手掛けるハウスメーカーは、成り立ちが建築屋です。施主がいて、その人のための一棟を建てる。分譲・建売を手掛けるパワービルダーは、成り立ちが不動産屋です。土地を仕入れて、区画を割って、建物を載せて、売る。工事は商品を作る工程のひとつとして社内に置かれています。
なお、同じハウスメーカーでも軽鉄か木造かで次に行ける先が変わりますが、それは構造の話なのでハウスメーカーの次はどこか。軽鉄と木造で、届く求人が別物になりますに分けています。
この違いは求人票の職種欄には出てきません。出てくるのは会社概要のほうです。面談で「この会社は建築屋ですか、不動産屋ですか」と聞かれることはほとんどないのですが、実は求人票の下のほうを見ると分かります。事業内容の並び順です。用地の仕入れや不動産の売買が先に書かれていて、工事が後ろにある会社は、社内での重心がそちら側にあります。逆に、注文住宅の会社は設計・施工が前に来ます。
重心がどちらにあるかは、入社後の扱いに直結します。分譲の会社では、着工の棟数が用地の仕入れペースで決まります。用地が取れた分だけ建てるので、工事部門は自分たちで仕事量をコントロールできません。ここを知らずに入った方から、入社半年で「暇な月と地獄の月の落差が読めない」という連絡をもらったことがあります。工程が乱れたのではなく、仕入れの波がそのまま来ていただけでした。
あなたの土日出勤は、施主が理由ですか、工程が理由ですか
動く前に、今日できることをひとつ。直近12か月で土日に出た日を、手帳かスケジュールアプリから拾って書き出してください。日数だけでなく、横に理由を一言ずつ添えます。
- 施主との打ち合わせ、変更の相談、立ち会い
- 引き渡し前の是正や、平日に取れなかった写真
- 職人の手配がつかず、土曜に入ってもらうことになった
- 前工程の遅れを自分の休みで埋めた
分けて並べると、たいてい傾向が出ます。上の二つが多いなら、それは注文住宅という商品の構造から来ています。施主がいる仕事は、施主の都合に合わせるしかありません。分譲に移ればこの要素はほぼ消えます。買主が現れるのは建物ができたあとで、工事中に要望を言ってくる相手がいないからです。
下の二つが多いなら、話が違います。人繰りと工程の埋め合わせを個人の休日でやらせている状態なので、これは会社の回し方の問題です。分譲に移っても、同じ回し方をする会社に入れば同じことが起きます。むしろ分譲は一人が同時に複数棟を持つ設計になっているので、埋め合わせの癖がある人ほど休みが削れます。
この書き出しをやると、辞めるかどうかではなく「何を解決したいのか」が一行で言えるようになります。面接でも効きますし、そもそも移らなくていいと分かる人もいます。
二次面接で工事部長に聞くのは待遇ではなく、用地の仕入れペースです
分譲の会社の二次面接には、工事部門の責任者が出てくることが多いです。ここで年収や残業時間を聞いても、人事と同じ答えが返ってくるだけです。聞く価値があるのは、この人しか答えられないことです。
言い方の例を挙げます。
「差し支えなければ、直近一年で用地の仕入れが多かった時期と少なかった時期で、一人が同時に持つ棟数はどのくらい動きましたか」
聞かれた側は、まず自分の部署の人繰りを思い出します。その思い出し方が返答に出ます。
具体的な棟数の幅がすぐ出てくる場合。「普段は四、五棟だが、去年の秋は八棟持たせた月があった」というように、幅と時期がセットで出てくるなら、繁忙の波を把握して配分している部署です。八棟という数字自体は重くても、把握されている波は対策が打てます。
「案件によりますね」で終わる場合。悪い人ではないのですが、棟数の管理が現場任せになっている可能性があります。追って「では、いま一番多く持っている方は何棟ですか」と具体に寄せてみてください。ここでも数字が出ないなら、入社後に自分の負荷を誰も見ていない環境だと考えたほうがいいです。
仕入れの話に前向きになる場合。「いま○○エリアで仕入れを強化していて、来期は棟数が伸びる」と話し出す工事部長は、事業側の計画を共有されている人です。会社の中で工事部門が下請扱いになっていない証拠になります。分譲の会社では、ここが分かれ目です。
もうひとつ、規模の確認も同じ場で済ませます。大規模開発を得意とする会社と、数区画の小型を数多く回す会社では、仕事の中身が別物です。「一区画あたりの棟数は、平均するとどのくらいですか」と聞けば、造成から入るのか、既成の宅地に建てるだけなのかも一緒に見えてきます。
求人票の資格欄に宅建が並ぶ理由。施工職でも無関係ではない
分譲の求人を眺めていると、資格欄に宅地建物取引士が出てきます。営業職の募集なら当然で、分譲の営業は宅地建物取引にあたるため、未経験で入った人にも取得を求める会社が多いです。建設業の資格とは別系統の前提が乗ります。
見落としがちなのは、施工管理の募集でも宅建が「歓迎」や「資格手当の対象」として並ぶことです。これは会社が不動産屋だからで、資格手当の一覧が全社共通になっているだけのケースもあります。ただ、施工から事業側へ動く人がいる会社では、実質的に取得を期待されていることもあります。
ここは面接で聞いて損がないところです。「施工の方で宅建を取られている方はいますか」と聞くと、社内のキャリアの流れが見えます。取っている人がいて、その人たちが用地や事業の部署に動いているなら、この会社の施工管理は建物を建てるだけの職ではありません。それを面白いと思うか、施工で腕を上げたいのに脇道だと思うかは、あなたの側の話です。どちらでもいいのですが、入る前に知っているべきです。
エージェントがこの違いを説明しないのは、手数料の計算式のせいです
ここは自社の集客記事には書きにくい話です。
人材紹介の報酬は成功報酬で、入社した人の理論年収に、契約で決めた料率をかけて決まります。つまり紹介する側の収入は、提示年収がいくらかで決まります。注文住宅と分譲では、給与のレンジ自体が大きく変わりません。ということは、担当者の手元に入る金額は、あなたをどちらに送っても似た額になります。差が出るのは働き方のほうだけです。
報酬に差がつかないものを、人は熱心に説明しません。悪意ではなく、説明しなくても数字が変わらないからです。加えて、注文と分譲の違いを、建築屋と不動産屋の違いとして説明できる担当者は多くありません。「どちらも住宅ですね」と言われたら、その担当者はまだそこまで見ていないということです。責める話ではないので、こちらから聞き方を変えます。
「この会社の事業内容で、用地の仕入れと工事はどちらが先に書かれていますか」
求人票を一緒に見ている前提なら、これで話が具体に降りてきます。分からなければ企業側に確認してくれます。担当者は日中を企業とのやりとりに使っているので、企業に聞くこと自体は得意分野です。
もうひとつ、こちらに不利な事実も書いておきます。注文から分譲に移ると、経歴書に残るものが変わります。分譲は一棟あたりの金額が小さいので、次に土地活用や賃貸物件を手掛ける会社を受けるとき、扱ってきた規模として評価されにくくなります。前歴の規模がそのまま評価される規模になるのが、この業界の見方です。休みを取りやすくする移動が、数年後の選択肢を細くすることはあります。両方を天秤にかけたうえで選ぶなら、それは十分な理由です。
まず、土日出勤の理由を12か月分書き出してください
今日やることはこれだけです。日数ではなく理由を横に書く。施主が理由の行が多ければ、分譲に移ることで消える悩みです。工程と人繰りが理由の行が多ければ、会社を変えても同じ会社に当たる可能性があるので、次は面接で棟数の幅を聞く番になります。どちらなのかは、あなたの手帳に既に書いてあります。


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