木造ハウスメーカーの次。業態より先に「階数」を合わせないと評価が噛み合わない

木造ハウスメーカーの次。業態より先に「階数」を合わせないと評価が噛み合わない 建設業界の地図

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木造の注文住宅を扱うハウスメーカーで施工管理を数年やった人が、次を考えたときに勧められる先は、かなりの確率で土地活用か投資用不動産の会社になります。業態の説明としては筋が通っているのに、面接に行くと話が噛み合わない。その原因の多くは、業態ではなく建物の規模です。この記事は、その一点だけを扱います。

扱うのは「木造の戸建てを担当してきた人が、賃貸マンションやアパートを建てる会社へ移るとき、どの規模の会社を受けるべきか」という場面です。転職の入口から入社後までを採用側で見てきた立場から書きます。現場の施工そのものをやった経験はないので、施工の手順の良し悪しには踏み込みません。

なぜ移り先が土地活用と投資用不動産になるのか

先に言葉を整えます。土地活用は、土地を持っている人(地主)に「ここにアパートを建てて貸しませんか」と提案して建てる事業です。投資用不動産は、会社が自分で土地を仕入れ、企画して建て、投資家に売る事業です。どちらも建てるものは賃貸の共同住宅で、外から見ると似ています。

住宅の世界に、注文住宅と分譲住宅という分かれ方があります。注文は施主(お金を出して発注する人)がいて、その人の要望を聞きながら建てる。分譲は会社が企画して建てて、できたものを売る。

この関係が、賃貸マンションでもそのまま現れます。土地活用は地主が施主にあたるので注文に近い。投資用不動産は企画から施工まで自社で回すので分譲に近い。だから木造の注文住宅をやってきた人は、土地活用の会社に入ると仕事の進み方に既視感があります。施主がいて、要望が途中で入って、引渡しで立ち会う。この形が同じなので、移れるのです。

注文と分譲の違いそのものは注文と分譲は別の業界です。パワービルダーの二次面接で工事部長に聞くことに、軽鉄と木造で行き先が変わる話はハウスメーカーの次はどこか。軽鉄と木造で、届く求人が別物になりますに書いています。

ただし似ているのは仕事の形までです。よくある誤解を一つ挙げると、「分譲に近いなら薄利多売なんでしょう」という理解。分譲の戸建てはローコストで数を売る設計になっていますが、投資用不動産は一棟あたりの金額が大きく、利益の作り方が違います。分譲住宅の感覚をそのまま持ち込むと、一棟にかけられる手間の見積もりを間違えます。

もう一つ、どちらの業態も賃貸管理を二次のビジネスとして持っている会社が多いです。建てて終わりではなく、その後の管理で収益が続く。工事の利益だけで回している会社と比べると、社内での施工部の位置づけも、会社の収益の安定の仕方も違います。引渡し後に不具合が出れば管理部門から戻ってきます。面接でそこを聞かれる会社もあります。

同じ業態の中に、三階建てと十五階が混ざっている

ここが本題です。土地活用も投資用不動産も、手掛ける建物の規模に大きな幅があります。木造・軽量鉄骨の三階建てアパートを地主向けに建てている会社もあれば、鉄筋コンクリートで十階、十五階の賃貸マンションを企画から回している会社もあります。どちらも「土地活用」「投資用不動産」と名乗ります。

採用側から見ると、この二つは別の職種に近い扱いです。十五階の物件を回す部署が中途を採るとき、見ているのは「自分たちと同じくらいの規模の建物を、工程と協力会社と役所の手続きを含めて回した経験があるか」です。木造の戸建てを年に何棟か担当してきた経歴は、そこに直接は届きません。

面接で何が起きるか。職務経歴書は通ります。業態が近く、住宅の施工管理の経験があるので、書類の段階で落とす理由がない。そして一次面接か二次面接で工事部長が出てきて、こう聞きます。

「同時に何件持っていましたか」「一棟あたりの請負金額はどのくらいでしたか」「掘って基礎をやる工程は、どこまでご自身で見ていましたか」

ここで戸建ての規模の話をすると、部長の頭の中で「うちの現場に置いたら、独り立ちまで何年かかるか」の計算が始まります。人手が足りていても、その計算が合わなければ通りません。企業が一人採るときに見ているのは給与だけではないからです。エージェント経由なら紹介手数料が先に出ますし、独り立ちするまでは給与を払いながら利益が立たない期間になります。教える側の時間も現場から引きます。さらに、力がついた頃に辞める確率も織り込まれています。この合計から回収年数を逆算するので、「人手不足なのに落ちる」は企業の中では矛盾していません。

逆の噛み合い方もあります。ゼネコンで大きい現場をやってきた人が、三階建てのアパートを数多く回す会社に応募すると、今度は「同時に何棟も持って、地主さんとも話す動き方に合うか」を疑われます。経験の大小ではなく、噛み合うかどうかの話です。

つまり、木造ハウスメーカー出身なら小型の物件が多い会社、ゼネコン出身なら大きめの物件を手掛ける会社。前歴で扱ってきた規模が、そのまま評価される規模になります。

年収についても触れておくと、土地活用や投資用不動産の施工管理は、住宅の施工管理より水準が出ることがあります。会社と地域によっては地場のゼネコンより出る例もあります。ただしその代わり、扱う建物が賃貸の共同住宅に偏ります。十年その会社にいると、職務経歴書に並ぶのはマンションばかりになる。年収と、建物の種類の幅は、ここで交換になっています。どちらが良いかは読んだ人が決めることです。

求人票からは規模が読めない。何を見て、何を聞くか

求人票の職種欄には「施工管理(賃貸マンション・アパート)」としか書かれていないことが多く、階数も構造も金額規模も載りません。載っていても「RC造・木造」と両方書いてあるだけで、どちらが主力かは分かりません。

その日のうちに調べられる順番を書きます。

  1. 会社のサイトの施工実績・物件紹介のページを開く。直近一、二年の物件を、階数と構造で数える。三階建てが並ぶ会社か、十階前後が並ぶ会社かは、これで大体分かります。
  2. 採用ページではなく事業紹介のページを見る。土地活用なのか投資用の販売なのか、賃貸管理を自社でやっているかが書かれています。
  3. 求人票の勤務地と現場の場所を突き合わせる。都心の狭い土地で十階建てを建てる会社と、郊外でアパートを面で建てる会社では、一日の動き方が変わります。

そのうえで、面接で工事部長に聞く言い方です。「御社はどんな物件を手掛けていますか」では会社案内が返ってくるだけなので、期間と部署を区切って聞きます。

  • 「直近一年で着工された物件のうち、私が配属される部署が担当されたものは、何階建てが多いですか」
  • 「そのうち一棟あたりの請負金額は、いちばん多い帯でどのくらいですか」
  • 「入って一年目は、何棟を同時に、どの工程から任せる想定ですか」

三つめの答え方で、会社の教え方が出ます。「まずは先輩の現場に付いて、基礎から上棟まで一周見てもらう」と工程で答える部長は、教える段取りを持っています。「現場を見ながら決めます」だけで終わる場合は、人繰りの都合で配属が動く会社だと考えて、次に「今いちばん人が足りていない現場はどんな物件ですか」と聞いてみてください。そこが最初の配属になる可能性が高いです。独り立ちまでの期間は会社で本当に差があり、数か月で一棟任せる会社も、数年かけて段階を踏む会社もあります。年数を一律に語れないので、面接で確かめる項目として扱うしかありません。

エージェントが業態だけで勧めてくる構造

ここは現役の会社が自社の記事には書きにくいところなので、担当を離れた立場で書きます。

紹介会社の報酬は成功報酬です。入社が決まって初めて売上が立ち、担当者は月ごとの数字を負っています。すると、書類が通りやすく、面接まで進みやすい求人から並べることになります。「木造の注文住宅の経験者です。施主対応の経験があります」という推薦の一言は、土地活用の会社に対してそのまま書けます。業態が近いので、通る。だから勧められます。

これは手抜きではありません。決まる見込みのある人には推薦文もきちんと書きます。ただ、規模の噛み合いは書類では露呈せず、面接で初めて出ます。担当者の側から見ると「通ったのだから合っている」という結果になりやすい構造です。

もう一つ。三階建てのアパートと十五階の賃貸マンションで施工管理の仕事がどれだけ違うかは、求人票の文字からは読み取れないので、担当者によって理解の深さがかなり違います。担当者を責める話ではなく、こちらから規模を指定して聞くほうが早い、という実務の話です。聞き方は「賃貸マンションの施工管理を見たい」ではなく、「五階以下の物件が主力の会社を見たい」「RCで十階前後をやっている部署を見たい」。この形にすると、手持ちの求人から該当するものが出てきます。出てこなければ、その担当者はその領域の求人を持っていません。

ついでに書いておくと、経験と行きたい先が離れすぎていると、企業に推す一言が作れません。木造から軽量鉄骨の大手へ、というのはその典型で、実績と資格の両方でハードルが高く、出せる求人が実際に少なくなります。同じ木造の経験を活かすなら、大型木造を手掛ける工事業者のほうが話が早い、という判断はここから来ています。

今日やる一つ

自分が担当した物件を、紙一枚に書き出してください。物件ごとに、階数・構造・延床のおおよその面積・請負金額の帯・同時に持っていた棟数・自分がどの工程から関わったか。この六つだけです。

この紙があると、求人を見たときに「自分の数字と近いか」で判断でき、面接でも工事部長の質問にそのまま答えられます。業態が合っているかより先に、この紙の数字と会社の施工実績の数字が並ぶかを見る。それが噛み合いの確かめ方です。

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