未経験の施工管理、二次面接で工事部長が見ている一点

未経験で施工管理を受ける人が、二次面接の工事部長に見られている一点 選考と面接

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未経験から施工管理を受けると、たいてい二次面接で工事部長(現場を束ねる管理職)が出てきます。そこで聞かれるのは志望動機ではなく、「もし現場でこうなったらどうしますか」という場面の質問です。この記事では、その質問で何が判定されているのか、そして向き不向きがどこに出るのかを、面談と後日談で見てきた範囲に絞って書きます。施工の手順そのものは私は経験していないので、選考と入社後の話に限ります。

施工管理というのは、工事そのものを自分の手でやるのではなく、工程(いつ何をやるかの順番)と、材料の手配、品質の確認、安全の管理を受け持つ仕事です。図面を描く人、実際に作る職人さん、発注した施主の間に立って、話をつないで回す役割だと思ってください。

「未経験歓迎」の求人が、会社の中でどう計算されて出てきているか

まず、求人票の側から見ておきます。

人手が足りないから未経験でも採る、というのは半分しか当たっていません。会社が未経験を一人採るとき、社内では回収年数の計算が回っています。仮に、従業員 60 名ほどの設備会社が未経験の 27 歳を一人採るとします。かかるのは給与だけではありません。

  • 人材紹介会社を経由していれば、入社時に紹介手数料が先に出ていきます
  • 独り立ちまでの数年は、給与を払いながら利益を生まない期間になります
  • 教える側の先輩を、その分だけ自分の現場から引き剥がすことになります
  • 力がついた頃に辞める可能性も、確率として最初から織り込まれています

この合計を何年で回収できるかを逆算するので、「人手不足である」ことと「未経験に高い額を出せない」ことは、会社の中では矛盾しません。都心部の施工管理の求人は、下限が 400 万円台、上限が 800 万円台まで開いているものも珍しくありませんが、未経験で入る人が見ているのは、その幅のいちばん下の端です。求人票に「年収例 35 歳 800 万円台」と書いてあっても、それは経験者が何年か回したあとの数字で、入口の話ではありません。

もうひとつ、年齢で判定が別物になります。20 代なら育成前提で採れますが、30 代以降は回収年数が短くなるぶん、即戦力寄りの目で見られます。同じ「未経験可」の求人でも、28 歳と 38 歳では社内の議論の中身が違う。これは面接官の好みではなく、計算の話です。この計算を、採用する側の帳簿から一つずつ分解したものは 人手不足なのに未経験の提示額が低いのはなぜか。企業の帳簿から逆算する に書きました。

工事部長の場面質問は、答えの中身を採点していない

二次面接でよく出るのが、こういう質問です。

現場で、職人さんに「明日これをこの順番でお願いします」と伝えたら、「無理だ」と言われました。どうしますか。

未経験の人がここで答える型は、だいたい三つに分かれます。

  1. 「なぜ無理なのか理由を聞いて、自分で説得します」
  2. 「事前に勉強して、無理だと言われない知識を身につけておきます」
  3. 「理由を聞いて、自分で判断がつかないので、いったん先輩か所長に確認します」

面接に慣れていない人ほど 1 と 2 を選びます。熱意が伝わると思うからです。ところが工事部長は、この質問で「正しい対処法」を採点していません。見ているのは、この人を自分の部下の誰に預けられるかです。

未経験で入った人は、必ず判断のつかない場面に出くわします。そのとき勝手に決めてしまうと、翌日の手配が全部ずれます。資材が来ない、職人さんが手待ちになる、その分の費用が誰かの持ち出しになる。だから工事部長が確かめたいのは、「分からないときに、分からないと言って人に投げられるか」の一点です。3 の答えに含まれている「自分で判断がつかないので」という一言が、そこに当たります。

実際、面談で「二次で落ちた理由が分からない」と言われて振り返ると、ご本人が「自分で何とかします」と繰り返していたケースがかなりあります。本人としては前向きに答えたつもりで、採点側からは「勝手に動いて事故を起こす人」に見えている。ここの食い違いは、事前に知っていれば避けられます。

なお、答えを丸暗記して 3 を言えばいい、という話ではありません。この質問に自然に 3 で答えられるかどうかは、そのまま次の向き不向きの話につながります。

面接が終わったあと、担当者から何をどこまで引き出せるかは面接の感触を聞いても「手応えは良かったようです」しか返ってこない理由に書いています。

向き不向きは体力ではなく、「頼めるか」「その場で聞けるか」に出る

業界の外から来る人が持っている思い込みで、いちばん多いのが「体力がないと務まらない」です。もちろん早出はありますし、現場と事務所の往復、夏場の暑さ、繁忙期の連続は体にきます。そこは軽く見ないほうがいい。

ただ、最初の一年で辞める理由として面談で聞いてきたのは、体力そのものではありませんでした。多かったのは、こういう話です。

  • 年上の職人さんに何かを頼むのが気まずくて、自分で抱えて、結局ひとりで残業していた
  • 分からない用語をその場で聞けず、あとで調べようと思って、聞くタイミングを逃し続けた
  • 図面の見方が分からないのに「分かりました」と返事をして、違うものを手配した

共通しているのは、人に頼むこと・その場で無知をさらすことへの抵抗です。逆に、前職で接客や営業をしていて、頭を下げた経験がある人は、知識がゼロでも半年後に残っていることが多い。これは私が面談で見てきた範囲の傾向で、統計ではありません。ただ、面接官が場面質問を出す理由と、きれいに重なります。

自分に向いているかを測りたいなら、性格診断より先に、前職での場面を思い出してみてください。締切が迫っているとき、自分で抱えたか、誰かに「これお願いできますか」と言えたか。 言えなかったとしたら、それが性格の問題なのか、言える相手がいなかった環境の問題なのか。ここを区別しておくと、面接で場面質問が来たときに、作り話ではない答えが出ます。

内定が出たら、配属先について一問だけ確かめる

求人票の「研修制度あり」は、会社によって指すものがかなり違います。多いのは、入社時の 1〜2 週間の座学(安全教育や社内システムの使い方)と、そのあとの現場配属です。現場に出てからは、制度というより、配属先の所長や先輩に預けられる形になります。つまり研修制度の実体は、誰の下につくかでほぼ決まります。

内定が出たあとの確かめ方は、内定が出てから配属現場を聞くのは失礼か。返事より先に確かめる二つにも書いています。

なので、内定が出たあと、あるいは最終面接の最後に、聞くのはここ一問でいいです。

配属後、最初に私が付く方は決まっていますか。その方は今、現場をいくつ持たれていますか。

二つめが本題です。一人で二つも三つも現場を掛け持ちしている先輩に付けられると、教える時間が物理的にありません。そうなると、内定時に「まずは補助から」と言われていたのに、三か月目に小さめの現場を一人で任される、ということが起こります。これは会社が嘘をついたというより、配属先の人手が想定より足りなくなっただけです。ただ、起こると本人は「話が違う」と感じます。

この質問は、人事ではなく工事部長か配属先の責任者に投げるのが確実です。人事は現場の持ち件数まで把握していないことがあります。エージェント経由なら、担当者にそのまま言葉で渡してください。「教育体制について聞いてください」と抽象的に頼むと、「OJT でしっかり教えます」という回答が返ってきて終わります。件数という具体的な数字を聞いてほしい、と指定したほうがいい。

未経験の求人が、なぜあなたに大量に送られてくるのか

ここは、現役のエージェント会社が自社の記事には書きにくいところなので、書いておきます。

人材紹介は成功報酬です。入社が決まって初めて会社に手数料が入り、担当者の数字もそこで立ちます。月ごとの目標を背負っているので、動きは自然と「決まりやすい案件」に寄ります。未経験可の施工管理求人は、書類で落ちにくく、応募数を作りやすい。だから送られてくる件数が多くなります。あなたの適性を精密に測った結果として並んでいるとは限りません。

職種ごとに入口の広さがどう違うかは、建設の5職種は何で評価されるか。積算が未経験にはいちばん狭い入口になる理由に書いています。

同じ仕組みの裏側として、こういうことも起きます。

  • 未経験で 30 代後半、希望条件が細かい人は、決まるまでの手数がかかるぶん、連絡の優先度が下がることがあります。返信が遅いのは、あなたが軽んじられているというより、その月の数字から遠いと判断されているだけです
  • 担当者の連絡が夜になりがちなのは、日中の 9 時から 18 時を求人企業とのやりとりに使い、働いている求職者との連絡を夕方以降に回すためです。この働き方のせいで入れ替わりも早く、選考の途中で担当が変わることがあります。これは担当者個人の問題ではなく、仕事の構造です

だから、エージェントを使うなとは言いません。企業の内情を聞き出す窓口としては有効です。ただ、送られてきた求人の並び順を「自分に合っている順」と読まないほうがいい。判断の材料は、こちらから質問を指定して取りに行くものだと思ってください。

今日やること

一つだけ挙げます。前職か今の職場で、自分から誰かに「これ、お願いできますか」と頼んだ場面を三つ、書き出してみてください。 相手は誰で、なぜ自分でやらずに頼んだのか、結果どうなったか。

三つ出てくるなら、二次面接の場面質問に、作り込まなくても答えが出ます。一つも出てこないなら、それは向いていないという意味ではなく、これから一番負荷がかかる場所がそこだと分かったということです。分かったうえで入るかどうかは、読んだ人が決めることだと思っています。

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