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就業規則に産休・育休の規定があることと、育休から戻った技術者が今も現場に立っていることは、まったく別の話です。この記事では、選考の終盤——二次面接と現場見学——という一場面に絞って、復職後の配属が実際どう決まっているかを確かめる方法を書きます。現場を持ってきた人が、次の会社でも現場を続けられるかどうかを見極めるための話です。
聞くのは取得率ではなく「復職した人が今どこにいるか」
一次面接や人事面談で「育休の取得実績はありますか」と聞けば、まず「あります」と返ってきます。ここで出てくる数字は、総務・経理・営業事務まで含めた会社全体のものであることがほとんどです。建設会社は事務系に女性が多いので、全体で見ると取得実績も継続勤務年数もそれなりの数字になります。技術職だけを切り出すと景色が変わる会社は珍しくありません。
休職や離職の期間をエージェントにどう伝えるかは、休職していた数か月を、エージェントに言うか。隠しても入社手続きで出ますに書いています。
ですから、聞き方をこう変えます。
「直近3年ほどで産休・育休から復職された技術職の方は何名いらっしゃいますか。そのうち、いま現場に配属されている方と内勤の方の内訳を教えていただけますか」
注目するのは内訳の比率そのものより、個人の話で返ってくるかどうかです。運用が回っている会社の工事部長は、「いま二人いて、一人は駅前の改修で仕上げを見ています」と現場名と役割まで出てきます。数字だけが返ってくる、あるいは「調べて後日お伝えします」となる場合は、社内で話題に上がっていないということです。
よくあるのは、復職者が工務・積算・安全部・品質管理部といった内勤に集まる型です。これは悪意ではなく起きます。現場の人繰りは所長の裁量が大きく、所長は日々の段取りで手一杯で、勤務時間の制約がある職員をどう組み込むか設計する余裕がない。そこで本社が気を利かせて内勤に置く。一度置くと、戻すきっかけがないまま年単位で過ぎます。
二次面接の工事部長には「人員配置がいつ誰の判断で決まるか」を聞く
制度をつくるのは人事、運用するのは工事部です。だから聞く相手を分けます。二次面接には工事部長や統括所長クラスが出てくることが多いので、ここでは制度の話をせず、配置の決まり方だけを聞きます。
- 「工事部の人員配置は、どのくらいのサイクルで見直されますか。最終的に決めるのはどなたですか」
- 「復職のタイミングが期の途中に来た場合、次の現場の立ち上がりまで待つ形になりますか。それとも進行中の現場に途中から入る例が多いですか」
これを聞く理由があります。多くの会社で、工事部は四半期または半期ごとに人員配置表を更新します。新規受注の着工時期に合わせて、誰をどの現場に張り付けるかを一斉に決める仕組みです。期の途中に復職すると、この表の更新サイクルに乗れず、次の更新まで宙に浮きます。その「浮いている期間」に内勤の仕事を割り当てられ、そのまま定着する——これが現実に一番多い流れです。
返答の読み方を三つ挙げます。
- 「途中から入るのは珍しくないです。仕上げ段階の現場は人を足すことが多いので」——実際の運用を知っている人の答えです。具体的な段階の話が出てくるかが鍵になります。
- 「本人の希望を聞いて決めます」で終わる——決定プロセスが存在しないということです。そのときの空気と所長の相性で決まります。
- 「無理はさせませんので安心してください」——一見配慮ですが、現場から外す判断がすでに織り込まれている可能性があります。ここは必ず聞き返してください。「具体的には、どの業務を外す想定でしょうか」。夜間工事と休日立会いだけを外す会社と、現場配属そのものを外す会社とでは、まったく意味が違います。
現場見学では、仮設計画と備品の在庫を見る
見学には何度も同行しました。見るところを決めて行く人と、案内されるまま歩く人とで、入社後の落ち着き方が違います。
見学は自分から申し出て構いません。言い方はこうです。
「選考の中で、現場を一つ見せていただくことは可能でしょうか。できれば女性技術者が配属されている現場だと、働き方のイメージがつきます」
後半を付けるのが要点です。用意できるかどうかで、今そういう現場があるかが分かります。「調整が難しい」と返ってきた場合、それ自体が答えです。
現場に入ったら、説明を聞くより先に次を見てください。同行した中で、あとから効いてきたのはこの三つでした。
- 事務所ユニットハウスの割り付け。更衣室が独立しているか、資材やサンプル置き場と兼用になっていないか。所長に聞いて知ったのですが、仮設事務所の棟数と配置は着工前の仮設計画で決まっていて、あとから一棟増やすには基礎・電気・リース費が追加で要ります。つまり、更衣室が独立しているということは、着工計画の時点でそこに人を配属する前提があったということです。
- トイレ。公共工事では国土交通省が「快適トイレ」の標準仕様を示しており、洋式や女性専用の表示などが要件に入っています。民間工事でどこまで揃えるかは会社の方針次第です。所長に「民間の現場でも快適トイレ仕様で手配されていますか」と聞くと、方針があるかどうかが即答で分かります。
- 備品のサイズ。フルハーネス型墜落制止用器具は体格に合わせて選ぶ必要があり、小さいサイズを常時在庫しているかどうかは、その会社に技術職として継続的に人がいるかの指標になります。作業服と安全靴も同じです。「ハーネスや作業服のサイズはどう手配されていますか」と聞いて、その場で答えが出るか詰まるかを見てください。在庫は誇張ができないので、面接の言葉より正直です。
会社が面接で言わない「配属できる現場が限られる」という事情
ここは踏み込んで書きます。仮設環境が整っているのは、規模が大きく工期の長い現場、JV現場、公共工事です。逆に小規模改修、テナント工事、地方の分散現場は仮設が薄い。その結果、会社は良かれと思って大型現場に固定配属するという判断をします。
問題はその先です。大型現場は職員が多く、役割が細分化されます。躯体、仕上げ、設備調整、書類のうち一部を数年担当する形になりやすい。一方で所長を目指すなら、実行予算、原価管理、下請契約、工程全体を一人で回した経験が要ります。それは規模の小さい現場の主任のほうが早く身につきます。環境の整った現場に固定されることが、数年後のキャリアの幅を狭める場合がある——これは配慮の副作用として実際に起きています。
配属や転勤の条件を面接で確かめる手順は、転勤なしの求人で単身赴任になる理由。工事部長に聞く四つの質問に書いています。
ですから、確認はこう組み立てます。
- 「これまで女性技術者が配属された現場の、規模と用途を教えてください」
- 「実行予算や原価を持つのは、だいたい何年目・どのくらいの規模の現場からですか」
配属履歴が大型現場ばかりなら、「将来的に原価を持てる規模の現場に入りたい」と入社前に伝えておきます。入ってから言うより、選考中に言うほうがはるかに通ります。会社側は配属方針を決める前だからです。
復職面談で口にした一言が、数年間効き続ける
入社後の話ですが、面接で確認しておく価値があるので書きます。復職面談で「最初のうちは内勤で」と言ったことが、そのまま人員配置の検討資料に「内勤希望」として残り、以降の現場配属の候補から外れる。これが手戻りの型です。誰も悪意を持っていません。配置表に一度載った属性が、本人から言い出さない限り更新されないだけです。
対処は単純で、期限と条件をセットで残すことです。「◯年◯月までは内勤、その後は通勤◯分圏内の現場に戻る」という形にしておく。そして選考の段階で、こう聞いておきます。
「復職後の配属について、期限を区切った取り決めを残すような運用はありますか」
この質問に対して「そこまではしていませんね」と正直に答えたうえで、「たしかに決めておいたほうがいいですね」と続く会社は、入ってから交渉できます。質問の意図が伝わらない会社は、仕組みで考える習慣がないということです。
まず今日、これを一つだけ
候補にしている会社を、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」で引いてみてください。見るのは育休取得率ではなく、職種や雇用区分ごとに数字を分けて公表しているかどうかです。建設会社は全社合計だと事務系に引っ張られて数字が整います。技術職を分けて出している会社は、社内でその数字を見ている会社です。分けていないなら、それがそのまま二次面接の質問になります。「技術職だけの数字は社内で把握されていますか」と。
調べるのは数分で済みます。そこで出た違和感を一行メモにして、面接の想定質問リストの先頭に置いてください。


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