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設備会社の求人を見ていて、「設備施工管理」「空調・衛生設備工事」とだけ書かれていて、その会社が実際に何を作っているのか分からない。そういう状態のまま応募して、面接で「弊社は通信がメインです」と言われて初めて食い違いに気づく人がいます。この記事は、建設業界の外から設備の会社を受けようとしている人に向けて、会社が扱う分野をどう見分けるか、その一点だけを掘ります。
サブコンとは「建物の中身」を作る会社です
まず言葉から。ゼネコンは、建物一棟の工事をまとめて請け負い、全体の工程と品質に責任を持つ会社です。総合工事業とも呼びます。サブコンは、そのゼネコンの下で、電気や空調や配管といった専門の工事だけを請け負う会社を指します。業界の外から見ると「下請け」という言葉のイメージがついて回りますが、規模で言えば、地方の中堅ゼネコンより大きい設備サブコンはいくらでもあります。上下ではなく、担当する範囲が違うと考えたほうが実態に近いです。
たとえば十二階建てのオフィスビルの現場を想像してください。骨組みとコンクリート、外壁までがゼネコンの領分です。そこに、天井裏を通る空調のダクト、床下や壁の中の給水・排水の配管、各階の分電盤とコンセントと照明の配線、非常放送のスピーカー、監視カメラ、火災報知器が入っていきます。これらはすべて別の会社が、別の工程で入ってきます。ビルが完成したときに目に見えているのはゼネコンの作った箱ですが、その箱を建物として機能させているのがサブコンの仕事です。
ここで最初の思い込みに触れておきます。外から見ると「設備は建物ができた後に入るから、期限に追われない楽な工事」と思われがちです。実際は逆の圧がかかります。設備の工程は建築の進み方に従属するので、躯体が遅れれば待たされ、遅れた分は完成日に向けて後ろで詰められます。面談で「建築が二週間遅れたのに、引き渡し日は動かなかった」という話を聞いたことは何度もあります。待つ時期と詰める時期が交互に来る、というのが、応募者から届く後日談に共通する感覚です。
電気は強電と弱電、管工事は空調・衛生・上水道で別の職種になります
設備サブコンの中は、だいたい二つの系統に分かれます。電気系と管工事系です。そして、その中がさらに分かれます。
電気系で電験三種を取ったあと、実務をどう積むかは電験三種に夢はあるか。難関は試験ではなく、合格後に実務を積める席ですに書いています。
電気系
- 強電:受変電設備、幹線、動力、照明、コンセント。ざっくり言えば「電気そのものを運ぶ」側です。扱う電圧が高く、停電を伴う切り替え作業があります。
- 電気通信・弱電:LAN配線、電話、監視カメラ、非常放送、自動火災報知設備、入退室管理。こちらは「情報を運ぶ」側です。
同じ「電気工事」でも、現場での段取りも、覚える機器も、関わる相手も違います。施工管理の国家資格も、電気工事施工管理技士と電気通信工事施工管理技士が別に存在します。
管工事系
- 空調:ダクト、冷温水の配管、屋上や機械室の熱源機器。オフィスビル、商業施設、工場などが主な舞台です。
- 給排水衛生:給水、排水、トイレまわり、消火設備。建物の中の水を扱います。
- 上水道管:道路の下に埋まっている本管。発注者が自治体になることが多く、建物の工事とは進め方がまったく違います。
大手の設備サブコンには内装部門を持つ会社もあり、天井や壁の仕上げまで社内で回していることがあります。
内装を専門にする会社の側がどう分かれているかは、内装施工会社とは。オフィス系と商業系で、求人の出どころが変わりますに書いています。逆に、地場の規模の小さい会社は何かに特化していることが多いです。「空調しかやらない」「自治体の上水道しか請けない」という会社が普通にあります。
この上水道管の領域は、転職市場で少し特殊です。全国区の大手が存在しません。その代わり、地方で自治体の工事を継続的に請けている会社でも、現場を仕切れる人には一千万円台に届く待遇が出ることがあります。ただし、掘って埋めるだけの単純な工事ではなく、水を止められない条件での切り替えや、地中の他の埋設物との取り合いがあり、技術面の要求は厳しいです。金額だけを見て入れる領域ではありません。
会社が何を扱っているかは、許可業種と施工実績の物件名に出ます
社名では分かりません。「◯◯設備工業」「◯◯エンジニアリング」という名前から、強電か通信か、空調か衛生かは読み取れません。求人票の職種欄も「設備施工管理」で止まっていることが多いです。では、どこを見るか。二つあります。
一つ目は建設業許可の業種です。 建設業を営む会社は、国または都道府県の許可を受けていて、その業種が公開されています。「管工事業」「電気工事業」「電気通信工事業」「内装仕上工事業」といった区分です。会社のウェブサイトの会社概要ページに許可番号と業種が並んでいることが多く、国土交通省の建設業者検索でも調べられます。ここに電気通信工事業が入っていなければ、その会社は弱電を主戦場にしていません。逆に、管工事業と電気工事業の両方を持っていれば、設備を一括で請けられる規模の会社だと分かります。
二つ目は施工実績ページの物件名です。 ここが一番正直です。「◯◯ビル 空調設備工事」「◯◯浄水場 送水管布設工事」「◯◯物流センター 電気設備工事」。十件も並べて眺めると、その会社が何で食べているかが見えます。オフィスビルばかりなのか、工場が多いのか、自治体の名前が並ぶのか。建物の用途が偏っていれば、それがその会社の得意な客先です。
募集要項の「担当していただく工事」の欄に建物用途が書かれている場合は、そこも合わせて読みます。実績が工場ばかりの会社が「オフィスビルの空調」と書いていたら、新しく取りに行っている分野か、特定の一件のための募集である可能性があります。面接で聞く価値のある食い違いです。
エージェントが出してくる「設備施工管理」は、分野が混ざっていることがあります
ここからは、紹介を使う場合の話です。使う側の損得に関わるので、先に構造から書きます。
人材紹介は成功報酬です。入社が決まって初めて企業から手数料が入ります。だから担当者は、決まる確率の高い組み合わせを優先します。その計算の結果として、同じ職種・同じ分野の求人が並びます。分野をまたぐと、これまでの経験の一部しか評価されず、提示年収が下がりやすいからです。これは担当者の怠慢ではなく、応募者の年収を守る方向の判断でもあります。
ただし、ここに一つ不都合な事実があります。求人票に「設備施工管理(電気)」としか書かれていない場合、それが強電なのか電気通信なのかを、担当者自身が把握していないことが起こります。結果として、弱電しかやってこなかった人に強電の求人が並ぶ、空調の人に給排水衛生の求人が来る、ということが実際に起きます。悪意ではなく、求人票の解像度と担当者の知識の掛け算で決まっている部分です。
もう一つ。これまでの経験と、行きたい先が離れすぎていると、企業に推す一言が作れません。「弱電十年の方ですが、強電の現場を志望されています」では、企業側の担当者に返す言葉がありません。出せる求人が実際に少なくなる。それだけの話です。
だから、面談ではこう聞いてください。
「この求人の担当工事は、強電ですか、電気通信ですか。求人票に書いていないので、企業に確認してもらえますか」
分野の名前を出して聞ける応募者は、担当者から見ると扱いやすい人です。確認が返ってくるまでに時間がかかる場合もありますが、その返答の質で、担当者がその会社をどこまで理解しているかも見えます。
二次面接で技術系の役職者に聞く質問は、一つでいい
一次面接は人事が出てくることが多く、分野の細かい話は返ってきません。二次以降で、工事部長や技術部長といった、現場を持っている側の人が出てきます。ここで聞くべきことを一つに絞るなら、これです。
「今、社内で一番人が足りていない工事はどれですか」
配属は、会社が扱う分野の中から、人繰りで決まります。求人を出している理由も、たいていはそこにあります。この質問への返答は、だいたい三通りに分かれます。
- 具体的な分野と物件名が返ってくる:「来年から始まる病院の衛生で、二人足りない」。これが一番信用できます。入ったときに何をするかが、ほぼそのまま見えています。
- 「どこも足りない」と返ってくる:会社全体が人手不足で、配属は空きに応じて決まります。分野を選べない前提で考えたほうがいいです。悪い会社という意味ではなく、希望を通すには入社後に自分で動く必要がある、ということです。
- 「うちは何でもやります」と返ってくる:話が分野の話に戻ってこない場合、その会社の中で分野の線引きが緩いか、面接官が採用に慣れていないかのどちらかです。ここで「では、直近三年で一番多かった工事はどれですか」と重ねると、実態が出ます。
あわせて、その分野に配属されたあと、どのくらいの期間で一つの現場を任されるのかも聞いておくといいです。独り立ちまでの期間は会社によって大きく違います。数か月で小さい現場を一人で持たせる会社もあれば、数年かけて段階的に任せる会社もあります。これは教育の仕組みと現場の人繰りで決まるので、一般論では測れません。面接で確かめられる範囲の話です。
今日やること
気になっている設備会社を一社決めて、施工実績ページの物件名を十件、そのまま書き出してください。 建物の用途と、発注者らしき名前と、工事種別だけでいいです。十件並べたとき、その会社が強電の会社なのか通信の会社なのか、空調なのか衛生なのか、自治体相手なのか民間相手なのかが、だいたい見えます。
そこで見えた分野が、あなたがこれから何年か身につける技術の名前になります。会社を選ぶより先に、この分野の名前を自分で言えるようにしておくことが、面接でも、エージェントとの面談でも効きます。


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