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「担当変更のご連絡」というメールが、平日の夜や休日に届いたことはないでしょうか。エージェントを使って動いている人にとって、これは地味に厄介な出来事です。ただ、実際に困るかどうかは、あなたがいまどの段階にいるかでほぼ決まります。選考が進んでいる人と、面談を一度受けただけの人とでは、起きることがまるで違います。
三年残るのは半分ほど。責める話ではなく、時間の使い方の話です
人材紹介の担当者が長く居着かないのは、本人の根性の問題ではありません。時間の使い方がそうなっているからです。
日中の九時から十八時は、求人を出している企業とのやりとりに使います。求人の背景を聞く、書類を出す、面接の枠を押さえる、見送りの理由を聞き返す。相手が会社なので、この時間帯にしか動けません。
では候補者との面談や電話はいつかというと、十七時、十八時以降です。読んでいるあなたが日中は現場や外回りにいるからです。夜八時に電話が鳴るのは、担当者が張り切っているからではなく、それ以外に話せる時間がないからです。土曜の午前に面談が入るのも同じ理由です。
この組み方をすると、一日が長くなります。結果として新陳代謝が起きます。体感として、三年残るのは半分ほどでしょうか。大手には十年選手の名物担当もいますが、多数派ではありません。
もう一つ、あまり書かれないことを言っておきます。人材紹介の会社は「高学歴のコンサルタントが揃っている」という見せ方をすることがあります。実際にそういう経歴の人はいます。ただ、給与のレンジで業界を並べたとき、この業界が第一志望になることは多くありません。総合商社、デベロッパー、大手広告代理店、コンサルのほうが出ます。看板のとおりとは限らない、という程度に受け取っておけば十分です。数年コミットして次の道へ行く人が多いのは、まっとうな判断でもあります。
選考が進んでいれば上席が引き取ります。問題は「面談だけ」の段階です
実害の大小は、社内であなたの案件がどう見えているかで決まります。
人材紹介は成功報酬です。入社が決まって初めて企業から手数料が入ります。ということは、書類を出した、面接日程が入った、という段階の応募者は、社内の管理画面に「今月あるいは来月の数字」として表示されています。ここで担当が抜けると、上席やチームが即座に引き取ります。放置すれば会社の売上が消えるからです。だから、選考中の担当交代で連絡が途切れることは、まず起きません。むしろ引き継ぎ直後は上席が出てくるぶん、対応が丁寧になることさえあります。
厄介なのは、面談を受けて求人をいくつか見せてもらった、まだ応募はしていない、という段階です。この状態は社内的には何も動いていません。引き継ぎは行われますが、中身は面談メモの共有です。
そのメモがどれくらいの分量かというと、数行です。希望勤務地、希望年収、保有資格、経験した工種。テキストで残るのはその程度です。あなたが面談で一時間かけて話した細かいところ、たとえば「転勤は構わないが、月に一度帰れる距離なら」とか「前職を辞める判断をしたのは所長との折り合いではなく人員の張り付け方だった」といったニュアンスは、まず残りません。新しい担当は、その数行から会話を組み立て直します。あなたは同じ話をもう一度することになります。
引き継ぎの隙間で起きやすい事故は、重複応募です
もう一つ、段階に関係なく起きる実害があります。同じ企業への二重応募です。
複数のエージェントに登録しているときに重複をどう潰しておくかは、建設特化か総合か。初回面談の最初の15分で、担当者の中身を確かめるに書いています。
よくある形はこうです。前の担当が「この会社、興味あればお出ししますね」と言ったまま止まっていた求人があった。あなたは別のエージェントにも登録していて、そちらから同じ会社に既に書類が出ていた。担当が変わり、新しい担当が改めてその求人を提案してきた。あなたも記憶が曖昧なので「お願いします」と返してしまう。
企業の人事は、先に届いた紹介を有効として扱うのが通例です。ただ、いつも通例どおりに処理されるわけではありません。あとから届いたほうで選考が進んでしまうことがあります。担当者が別人で、社内で突き合わせられていなかった、というだけの話です。そうなると、手数料をどちらに払うのかという話が、あなたの選考が進んでいる最中に始まります。巻き込まれるのは応募者です。面接の日程が止まる、あいだに入って事情を説明させられる、最悪の場合は話そのものが流れる。どちらのエージェントにも悪意はなく、書類が二重に届いたという事実だけが残ります。
これを防げるのは、エージェントではなく応募者本人だけです。どの会社に、いつ、どのエージェント経由で書類を出したか。この一覧を自分の手元に持っている人は、思っているより少ないです。
担当を測るなら、経験年数ではなく二つだけ見ます
新しい担当が若手だった、という理由で不安になる必要はあまりありません。経験年数は判断軸として弱いです。見るべきは二つです。
一つ目は、こちらの希望を汲んでいるか。確かめ方は簡単で、送られてきた求人について「なぜこれを自分に出したのか」と聞くことです。求人票に書いてある内容をなぞって返してくるか、あなたが話した経験のどこが企業の求めているものに当たるのかを言えるか。ここで差が出ます。
二つ目は、実際に動いているか。「A社は書類がいつ出て、返事はいつ来る予定ですか」と聞いてください。日付で返ってくれば動いています。「確認します」が続くなら、まだ企業に触っていません。
ここで一つ、応募者にとって愉快ではない事実も書いておきます。担当が変わっても求人が出てこない場合、原因が担当者側にないことがあります。これまでの経験と、行きたい先が離れすぎているときです。たとえば木造戸建の施工管理を八年やってきた人が、大型再開発の現場を希望する。このとき担当者は、企業に推す一言が作れません。「この方は御社の◯◯の現場でこう効きます」が書けないと、書類は出せても通りません。出せる求人が実際に少ないのです。これは工数を惜しんでいるからではありません。誰が担当しても同じ結果になります。担当交代を機に求人が止まったように感じたら、担当のせいと決めつける前に、自分の経験と希望の距離を疑ってみてください。
ついでに言えば、「担当変更」という言い方の中身は一つではありません。退職したのか、部署が変わったのか、社内で案件の配り直しがあったのかは、たいてい書かれません。会社として前任者の退職を外部に伝えない方針のところもあります。理由を詮索しても得るものはないので、聞かなくて構いません。
今日やること。自分の側の記録を一枚作って、新担当に送る
引き継ぎのメールが来た日、あるいはまだ来ていなくても今日のうちに、次の一枚をテキストで作ってください。スマホのメモで十分です。
- 応募した会社名と、書類を出した日付、経由したエージェント名
- 面接の日程が決まっているもの、返事待ちのもの
- 手掛けてきた現場の規模(延床、工期、請負金額の桁、自分の立場が所長か次席か担当か)
- 勤務地として受けられる範囲と、その理由
- 年収の下限と、その額にした根拠
- 受けたくない会社と、その理由
これを新しい担当への最初のメールに貼って送ります。社内の引き継ぎメモより、あなたが書いたこの一枚のほうが正確です。関係を作り直す手間は消えませんが、話が半分の時間で済みます。
担当が変わるかどうかは選べません。選べるのは、そのとき渡せるものを手元に持っているかどうかだけです。まずは応募済みの会社と日付を、今夜書き出しておいてください。


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