転勤なしの求人で単身赴任になる理由。工事部長に聞く四つの質問

転勤なしの求人で単身赴任になる理由。工事部長に聞く四つの質問 働き方と資格

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住宅ローンと親の介護があって、通える範囲の現場でしか働けない。それでも求人票の「転勤なし」を信じて入ったら、入社一年目の秋から隣県の現場に半年、というのが実際に起きます。この記事は、転勤の条件を面接でどう確かめるかを、二次面接で工事部長に会う場面だけに絞って書きます。

「転勤なし」は住所が動かないという意味しかない

求人票の「転勤なし」「原則転勤なし」「エリア限定」は、就業規則上の異動、つまり所属と住所地が変わる配置転換がない、という意味です。ここで見落とされるのが、応援や長期出張は転勤ではないという扱いです。

所属は今の支店のまま、三か月から半年、片道二時間の現場に入る。宿舎から通う。これは社内の整理では出張であって転勤ではありません。だから会社は求人票に「転勤なし」と書いていて、嘘をついているわけでもない。入社後に食い違うのは、応募者が「転勤なし=自宅から通える」と読み、会社は「住所を移す異動はない」と書いている、その一点です。

面談で後日談として何度も聞いたのは、この形の食い違いでした。転勤の有無を確かめたはずなのに、二年目に出張命令が出て、就業規則を読み直したら出張の期間に上限が書かれていなかった、という話です。

人事ではなく工事部長に聞く。質問は四つ

一次面接の人事に転勤を聞くと、制度の答えが返ります。制度は正しいのですが、配属を決めているのは人事ではありません。聞く相手は、二次で出てくる工事部長や支店の工事管理を持っている人です。

聞く順番はこうです。

  1. 「いま御社で、自宅から通えない現場に入っている施工管理の方は、何人くらいいらっしゃいますか」
  2. 「その方々の配属は、期初の計画で決まったものですか、それとも途中の応援で動いたものですか」
  3. 「直近一年で一番遠い現場はどこでしたか。通いですか、宿舎ですか」
  4. 「私の年次だと、入社後の一年目はどのエリアの現場が候補になりますか」

制度を聞かずに実績を聞くのが要点です。四つ目で具体的な現場名や地名が出てくる会社は、配属の見通しを持っています。「入ってから決めます」しか返らない会社は、決め方が場当たりだという意味ではなく、人繰りが直前まで固まらない運び方をしているということです。どちらが良いかではなく、自分の生活条件に合うかどうかで判断します。

三つ目で「宿舎がありますので」と制度の説明が始まったら、長期出張が常態である会社です。借上げ社宅や単身赴任手当の運用が整っているのは、それを使う人が毎年いるからです。

返答の読み方。「配慮します」の主語を確かめる

返ってくる言葉で一番多いのが「ご家庭のご事情は配慮します」です。これは嘘ではなく、その場では本当です。ただし配慮の主語は、目の前の工事部長個人であることがほとんどです。

だから、こう重ねます。

「配属は、部長のところで決まるのですか。それとも本社の工事管理部や支店長の決裁が入りますか」

決裁の所在を聞く質問です。部長の裁量で決まるなら、その部長が異動した時点で配慮は消えます。本社側で人繰りを組んでいるなら、面接で交わした約束は届きません。どちらであっても、入社後に効くのは規程ではなく「誰が配属表を作っているか」です。ここまで聞いておくと、内定後に条件を書面へ落とす交渉のときに、誰に向けて言えばいいかが分かります。

「人によりますね」「基本的には通える範囲です」も頻出します。この二つは、例外が毎年あるという意味だと読んでいいです。例外がなければ「ありません」と言えます。

評価が高い人ほど遠い現場に出される

読者の年代で一番効いてくるのがこれです。会社は、一人で現場を回せると判断した人から順に、遠い現場や難しい現場に出します。若手を片道二時間の応援に単独で出すわけにはいかないからです。

つまり、所長や主任として評価されるほど、通える現場に残れる確率は下がります。面接で「即戦力として期待しています」と言われるのは、そのまま「動ける人として期待しています」でもあります。転勤の条件を確かめるときは、自分の売り込み方と一緒に考える必要があります。現場力の高さだけを押し出すと、遠方の穴埋めとして採られやすくなる。逆に、若手の育成や協力会社との折衝、支店内の複数現場の面倒を見てきた経験を前に出すと、拠点に置いておく価値のある人として見られます。同じ経歴でも、どちらを前に出すかで配属の想定が変わります。

内定が出たあとに配属先を確かめる手順は、内定が出てから配属現場を聞くのは失礼か。返事より先に確かめる二つに書いています。

エージェント経由なら、面接前に優先順位を渡す

ここは使う側の損得を含めて書きます。求人票の「転勤なし」という一行は、企業の採用担当から聞いた内容をエージェントの担当者が起こしていることが多いです。そして企業の採用担当も、現場の人繰りを正確には把握していません。担当者は成功報酬で動いていて、その月の数字を背負っています。確認していないことは書けないので、「原則」という語を挟んで残す。悪意ではなく、この仕組みでそうなります。読者にとって不利な事実ですが、求人票の文言の精度はここで決まっています。

だから、面接前に担当者へ渡すのは「転勤は避けたい」ではなく、優先順位です。

  • 通勤片道一時間半が上限。これは動かせない
  • その代わり、年収は現職水準の維持で可。役職は問わない
  • 二次面接で配属の実績を直接お聞きします

順位を数字で渡すと、担当者は企業に推す一言を作れます。逆に条件が曖昧なままだと、届く求人も曖昧になります。エリアを絞るのは、その一言を作りやすくする方向の情報です。

もう一つ。面接での確認は、そのまま転職しない判断にも使えます。今の会社の工事部長に同じ四つを聞けば、自分の来年の配属の読みが立ちます。エリア限定の社員区分がある会社なら、区分変更で年収が下がる幅と、単身赴任でかかる出費を並べて比べられます。

まず、今日やることを一つだけ。直近五年で自分が入った現場を、所在地と通勤片道時間で書き出して、自宅から通えた現場の割合を出してください。それが今の会社の実績値です。この数字を持って面接に行くと、四つ目の質問への返答を、感想ではなく比較で読めます。

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