土木の元請に書類が通らないのは、経験ではなく経審の点数のせいかもしれません

土木の元請に書類が通らないのは、経験ではなく経審の点数のせいかもしれません 働き方と資格

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土木の下請で何年も現場を回してきて、元請の求人に応募したら書類で落ちた。しかも一社ではなく続けて落ちた。この記事は、それを自分の経験不足だと受け取っている人に向けて書いています。結論を先に言うと、落ちている理由が経験ではなく、あなたが一級土木施工管理技士を持っていないことである場合がかなりあります。そして、その「持っていない」が効く理由は、本人の実力の証明という話とは別のところにあります。

元請の求人票にある「一級歓迎」は、たいてい歓迎ではありません

求人票の必須要件に「一級土木施工管理技士」と書いてある会社もありますが、やっかいなのは「歓迎要件」や「尚可」に置いてある会社のほうです。応募する側は、歓迎なら無くても勝負になると読みます。実際には、書類選考の段階で有無が線引きになっていることがあります。

なぜそう書くのか。求人票の必須要件を厳しくすると応募が減るからです。母数は欲しい。でも採るときは資格者から採る。求人を出す側の担当者と話していると、こういう順番の会社は珍しくありませんでした。人事から「二級でも経験があれば見ます」と言われて応募した人が、書類で落ちる。落ちてから理由を聞いても「他の候補者との比較で」としか返ってこない。この「比較」の中身が、後で書く点数の話です。

その日にできること:これまで応募して落ちた土木の元請求人を、手元に並べてみてください。求人票の要件欄に一級土木施工管理技士の文字があるかどうかで二つに分ける。片方に偏っていたら、経験の問題ではない可能性が高いです。

会社が資格者を数えているのは、入札と経営事項審査の二か所です

土木の元請にとって、一級土木施工管理技士は二か所で効きます。

一つは、公共工事を受注したときに現場へ置く技術者です。監理技術者や主任技術者として配置できる人がいなければ、そもそもその工事を取れません。取れても回せません。つまり、資格者の数がそのまま受注できる現場の数の上限になります。

もう一つが経営事項審査、いわゆる経審です。公共工事の入札に参加するために受ける審査で、技術者の数が点数に反映されます。点数が動けば、参加できる工事の等級が動く。等級が動けば、入れる案件の規模が変わる。採用一人が、会社の受注できる範囲に直接つながっている構造です。

ここが建築と違うところです。建築の元請でも一級建築施工管理技士は当然評価されますが、民間の施主相手の仕事では「この人が現場を回せるか」という評価が主で、会社の受注枠そのものを押し広げる部分は土木ほど前面に出てきません。土木の元請では、資格が本人の証明であると同時に、会社が仕事を取るための部品になっています。

だから採用の会議で、こういう言葉が出ます。

経験はいいんだけど、うちは今、点数のほうが先なんだよね。

経験を否定されているわけではありません。順番の話をされています。

一級建築施工管理技士を持っていても、土木の点数には振り替わりません

これは意外と知られていません。建築の一級を持っている人が土木の元請を受けて、「一級を持っているから大丈夫」と思っているケースがあります。振り替わりません。経審で土木の点数として数えられるのは土木の資格者で、建築の一級は建築側で効きます。

面談でこの話をすると、驚かれることが多かった項目です。とくに、建築から土木へ流れてきて下請で何年かやってきた人。現場での実務は積み上がっているのに、会社の帳簿の上では「土木の技術者がひとり増えていない」扱いになる。ここで評価が噛み合わなくなります。

建築と土木が転職市場では別の業界として動いていることは建築と土木は、転職市場では別の業界です。分かれ目は発注者の一行に、土木の専門工事会社が構造物ごとに分かれていることは土木の専門サブコンは何をする会社か。求人票ではなく施工実績から読むに書いています。

もう一つ言っておくと、エージェント側の担当者がこれを正確に理解しているとは限りません。担当者の経歴はさまざまで、建設業界の出身ではない人もいます。求人票に「一級歓迎」と書いてあれば、そのまま「歓迎なので必須ではありません、出してみましょう」と案内されることがある。悪意ではなく、経審の構造を知らないだけです。推薦して落ちれば担当者にも損なので、知っていればそう言いません。

その日にできること:自分が持っている資格を、正式名称で書き出す。「一級施工管理技士」ではなく、建築なのか土木なのか、何級なのかまで。そのうえで、応募先が公共の元請かどうかと突き合わせてください。

一級を取ると、給与は百万円ほど変わります

資格手当が数千円という話ではありません。土木の元請では、一級土木施工管理技士を持っているかどうかで提示のベースが百万円ほど変わることがあります。

これも理屈があります。会社にとっては、受注枠が広がることへの対価です。採った人が現場を回してくれることに加えて、その人がいることで入札に出せる案件が増える。原資が別のところから出ているので、資格手当の相場という発想とは別の額になります。

手当として乗る分と、席が変わることで上がる分は別の話です。その切り分けは一級を取ると年収が100万変わるって本当か。資格手当は月1〜3万ですに書いています。

ここで一つ、応募する側に不利な事実を書いておきます。エージェントに「一級を取ってから動いたほうがいいですか」と聞くと、多くの担当者は「今の市況なら今のうちに」と答えます。担当者は成功報酬で動いていて、月ごとの数字を持っています。一年後に一級を取ってから決まっても、その数字は今月の自分には乗りません。嘘をついているわけではないし、今動いて決まる求人があるのも事実です。ただ、来年の受験と再来年の年収まで含めた計算は、担当者の評価軸の外にあります。この非対称は、使う側が知っておいたほうがいい。

もっとも、逆もあります。今の会社で受験に必要な経験が積めず、年数だけが過ぎているなら、先に移ったほうが早い。判断材料は次の見出しで挙げます。

面接で聞くのは三つ。公共の比率、発注者の内訳、一級を取るまでの席

一級を持たずに土木の元請を受けるなら、聞くことを絞ってください。二次面接以降、現場側の責任者が出てくる場で聞きます。人事にこれを聞いても、たいてい正確な答えは返ってきません。

1. 売上に占める公共工事の比率

「御社の工事は、公共と民間でおおよそどのくらいの比率ですか」。これは答えにくい質問ではないので、濁されたら別の意味があります。公共が大半なら、資格者の人数が経営に直結している会社です。あなたが一級を取ることへの支援も厚い代わりに、取るまでの立場は明確に限定されます。

2. 発注者の内訳

「主な発注者はどちらですか。国土交通省、都道府県、市区町村、高速道路会社、鉄道会社のあたりでいうと」。ここまで具体的に並べて聞くと、相手も具体的に答えます。答えの中身で、配属される現場の規模と、求められる等級の水準が見えます。市区町村の小規模な工事が中心の会社と、国や高速道路会社の案件を取る会社では、あなたに求める資格の切迫度が違います。

3. 一級を取るまでのポジション

これが一番大事です。「一級を取得するまでの間、どのポジションでどんな現場に入ることになりますか」。

返ってくる答えを三つに分けて読んでください。

  • 具体的な現場と役割が返ってくる:「今やっている河川の改修に、所長の下で次席として入ってもらう」。席が用意されている。この会社は、取るまでの期間を計算に入れて採ろうとしています。
  • 「まずは慣れてもらってから」で止まる:受け入れ方が決まっていません。悪い会社という意味ではなく、採用の必要が漠然としている可能性があります。追加で「次に着工する工事はいつごろですか」と聞くと、実像が出ます。
  • 「取ってもらうのが前提なので」と受験時期の話に寄る:会社が点数のために採ろうとしている状態です。悪くはありません。ただ、取れなかった場合の扱いが宙に浮くので、「もし一回目で受からなかった場合、担当は変わりますか」まで踏み込んで聞いておいたほうがいい。嫌な顔をされたらそれも情報です。

あわせて、受験のための実務経験を今の勤め先で満たせるかも確認してください。受験要件は年度で変わるので、ここは最新の公式情報を自分で見るしかありません。人づてに聞いた条件で計画を立てて、申込の段階で足りなかった人を何人か見てきました。

まず、落ちた求人の要件欄を並べるところから

今日やることを一つだけ挙げるなら、これまで応募して書類で落ちた土木の元請求人を開いて、要件欄に「一級土木施工管理技士」の文字があるかを確認することです。必須でも歓迎でもいい。書いてあるかどうかだけを、落ちた順に並べてみる。

そこに偏りがあるなら、足りていないのは現場の経験ではありません。会社の帳簿に載る資格者の頭数です。そう分かれば、次に取る行動は「経歴の書き方を変える」ではなく「受験の計画を立てる」か「取得までの席を用意してくれる会社を探す」のどちらかに絞れます。どちらを選ぶかは、あなたの年齢と今の現場で積める経験次第です。

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